相続手続きの流れ
- 公開日:2021.05.24
- 最終更新日:2024.09.08
人の死は突然訪れるものであり、そうした出来事に十分な準備のできている人などほとんどいません。
故人の死を悼むの束の間、次から次へと手続きや申請がやって来るというのが死後手続きの実情です。
本ページでは身近な人がなくなった後に発生する手続きの大まかな流れや最低限もっておかなくてはいけない知識について紹介していきます。
いざ相続が発生した際に慌てることのないように、こうした知識をきちんと身に着けることで対策を講じていきましょう。
目次
身近な人の死亡後に必要な手続きの流れ
まずは死亡後に必要となる手続きをおおまかにまとめて見ていきましょう。
ここでは相続以外の手続きや行うことも含めて画像にまとめてあります。
上記の画像の右に「3か月」というように時間が書かれているところがあるのがわかるかと思います。
これはそれぞれ被相続人の死後からその期間が経過するまでに行わなくてはならないということになります。
具体的には、
・被雇用会社員等の健康保険の資格喪失届(5日以内)、国民健康保険の資格喪失届(14日以内)
・世帯主の変更届(14日以内)
・相続放棄(3か月以内)
・被相続人の所得税の準確定申告(4か月以内)
・相続税の申告(10か月以内)
上記の手続きは期限が厳密に定められているため、申告期間の延長を申し出る以外の場合は期限内に終了するようにしましょう。
期限がない手続きでも、放置しておくと相続にあたって名義変更が行われていないことなどを起因としてトラブルに発展することもあるので気を付けましょう。
なるべくはやく手続きを終わらせるに越したことはありません。
遺産相続手続きの流れ
なお、今回紹介するのは専門の資格者に依頼をした場合の流れになっております。
ご自身で全ての手続きを行おうとする際に行わなくてはならない手続きの量の目安にしてみましょう。
① 事前相談(無料相談)
相続人の方から遺産の概要や相続人の状況、遺言の有無などをお伺いした上、遺産整理の基本方針を固めさせていただきます。
↓
② 相続財産承継業務委任契約書の締結
「遺産整理業務」の契約のお申し込みをいただき、その後、相続人の皆様と当事務所との間で遺産整理業務に関する委任契約を結びます。
↓
③ 戸籍関係書類の取得・相続関係説明図の作成
相続人(亡くなった方)の戸籍・除籍謄本等を収集し、最終的な相続人の人数を確定いたします。
また、亡くなった方(被相続人)と相続人の関係性を説明する必要書類(法務局へ提出するための書類)として「相続関係説明図」を作成いたします。
↓
④ 相続財産調査・財産目録の作成
相続人の皆様にご協力いただき、遺産の内容を確認いたします。
ご相続人等関係者の方からご提示いただきました資料を手掛かりに、財産や債務について明細を調査の上、「財産目録」を作成いたします。
>> 詳しくは遺産の分類と相続方法のページをご覧下さい。
↓
⑤ 遺産分割協議のサポート、遺産分割協議書の作成
遺産の全容が確定した段階で、相続人の皆様で遺産の分割協議を行っていきます。
当相談室では、相続の専門家が第三者の立場で遺産分割協議のアドバイスを行います。
また、相続人全員の合意内容を基に、「遺産分割協議書」として、話し合いの結果を文書にいたします。
>> 詳しくは遺産分割協議の種類のページをご覧下さい。
↓
⑥ 各種名義変更手続き(不動産の名義変更、預貯金の解約・払出手続等)
遺産分割協議書に基づき、不動産、預貯金、株式などの財産について、名義変更や換金処分(売却・解約・外貨両替等による現金化)を行います。
その上で、遺産の引き渡し等を行います。
↓
⑦ 相続財産の活用(不動産の売却・運用等)についてのサポート
相続人のみなさまのご要望に基づき、今後の生活設計や資産の運用・管理などについてアドバイスをいたします。
不動産の有効活用や売却・買い換えなどについても、ご要望に応じてお手伝いいたします。
↓
⑧ 相続税の申告(相続税の申告が必要な場合は税理士をご紹介)
遺産の額が一定額を超えると、各相続人に相続した割合に応じて相続税が発生いたします。
相続税が発生した場合、相続税の専門家である税理士をご紹介いたします。
↓
⑨ 遺産整理業務完了の報告
相続財産のすべての分割、名義変更などが完了した段階で、お手続きについての完了報告書を作成し、相続人の代表の方にご報告申しあげて、本業務は終了いたします。
以上が遺産相続の手続きの流れになります。思っていたよりもやることが多いと感じた方も多いのではないでしょうか?
相続手続きのための時間を取れないという方のために当事務所では手続きの代行サービスも行っております。
また、「まずは自身の相続の状態や何をしなくてはならないかを知りたい」という方のために無料相談を実施しております。
相続に特化した資格者が懇切丁寧にお話を伺わせていただきます。
無料相談について詳しくはこちらのページからご確認ください。
法定相続人や法定相続分とは
遺産を相続することができるのは、民法で規定された「相続権」を持つ人だけになります。
この相続権を持つ人のことを「相続人」と呼びます。また、亡くなった人のことを「被相続人」と呼びます。
では相続権を持つ人とは誰なのでしょうか。
法定相続人にあたる人とは
まず、どのような家族構成であっても配偶者は必ず相続人となります。
さらに子供がいる場合、子供も相続人になります。
子供がいない場合には、相続人は配偶者と親や祖父母といった直系尊属になります。
もし配偶者以外の両親、祖父母、子供がいない場合は被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
このように配偶者→子供→親(祖父母)→兄弟姉妹という順位で法定相続人は規定されています。
これが法で定めた相続人、つまりは法定相続人に当たります。
法定相続分とは
法定相続分とは、遺産の分け方の目安として国が定めている遺産分割割合のことです。
基本的なルールとしては「まず配偶者が一定割合を相続。その後にその他の相続人が残りを分割する。」という形になります。
この「配偶者の相続する一定割合」が場合によって変化するのですが、以下がその割合になります。
相続人が配偶者と子供の場合、まず配偶者に1/2、そして残った1/2を子供が分割という形になります。
これが配偶者と直系尊属(親、祖父母)であれば、配偶者に2/3、残りの1/3を直系尊属で分割することになります。
配偶者と兄弟姉妹の場合には、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4を人数で分割という形になります。
よくある勘違い
「法定とつくのだからその割合で分割しなくてはならない」という勘違いも多いのですが、こちらに関してはあくまで目安であり強制力を持つものではありません。
つまり、相続人全員の同意があればどのような割合で分けることも可能になります。
また、よくある勘違いとして「相続人全員が同意すれば法定相続人以外の人を相続人に指定して相続させることができる」というものがあります。
例えば、「被相続人の生前につきっきりで介護してくれた介護師の方にも相続をしたい」というようなものです。
法律上、法定相続人以外は相続人になれないので、相続人全員の同意があろうとも相続を行うことはできません。
もしこのようにお世話になった法定相続人以外のひとに相続をしたい場合には、生前贈与という形で金銭の授受を行うか、遺言書を書いておく必要があります。
>> 詳しくは法定相続と相続人のページをご覧下さい。
相続税は全員が納税しなくてはいけない?
結論から言うと、相続税は全員が納税しなくてはいけないものではありません。
では、どれだけの割合の人が相続税を支払っているのでしょうか。国税庁発行の「平成30年分 相続税の申告事項の概要」によるとその割合は8.5%とのことです。
多くの場合で相続税が課税されていないことがわかるかと思います。
さて、こうなると気になるのはその「8.5%」になる人はどのような人なのかということです。
相続税の基本「基礎控除」とは
まず相続税の基本概念をお教えします。その基本は「一定額以上の遺産を残して亡くなった方にだけ課税する」というものです。
この一定額というのが基礎控除と呼ばれるものになります。
この基礎控除は「基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数」ということになります。
例えば、被相続人の死後「配偶者1人と子供3人」が相続人となる家庭で相続が発生した場合、その基礎控除額は
3,000万+600万×3=4,800万円 ということになります。
この金額を超えない限りは相続税はかからないということになります。
そして、この金額を超えている場合には、「遺産総額から基礎控除を引いて残った金額」に課税されるということを覚えておきましょう。
決して存在する遺産の価額の全額に税金がかかるというわけではありません。
1億6,000万円の税控除ができる「配偶者控除」とは
また一つ必ず覚えておいておきたいのが「配偶者の税控除」になります。
夫婦の間での財産の相続を行う場合には1億6,000万円までは課税しないです、という制度になります。
こちらの制度も存在するため、多くの場合相続税はかなり小さくなる傾向にあります。
相続税に関して気を付けるべきポイント
ここまで相続税の計算について説明してきましたが、これらの計算はあくまでも基本的な計算になります。
不動産の価額やその他動産の相続、相続人の人数や各相続人の相続割合のによっても納めなくてはいけない税額は変化します。
また、相続税の申告額を少なくするために自身でネット等で調べた方法で節税を行っている方がいらっしゃいます。
しかしながらそうした方法は時に間違った情報によるものも多く、相続税の申告をおこなった後に不正な方法だと発覚し税務署から追徴課税をされてしまうというケースも散見されています。
多くの場合は税務署の税務調査を甘く見ていたことが原因になります。
そのような事態を防ぐためにも、まずは専門の資格者に相続に関して相談することをおすすめしています。
自分で相続手続きをするのは大変?
現代では相続や遺言に関する書籍や当ページのようなインターネットページ、あるいはYouTubeなど様々な経路から情報を収集することのできる時代になっています。
そのため、時間と手間を惜しむことなく徹底的にコストをかければ相続手続きを自分自身のみで行うこともできます。
しかしながら、全てを独力で行うとなると様々な要因でうまくいかないということが多いというのも現実です。
具体的に皆様が苦労される、うまくいかないということで以下のような声が寄せられております。
・戦時を経験しており生前転居も多かった故人の、生まれたときから死亡するまでの戸籍をすべて集めるのが時間的にも手間的にも難しい。
・相続人全員が時間的に余裕がなくやることはわかっているものの時間的にこのままだと期限に間に合わない。
・遺言書があるのでそれに沿って相続を進めようとしたら「検認をしていない遺言書は無効だ」といわれ遺言書の法的有効性がなくなってしまった。
・関係性の良くない相続人がおり、なかなか連絡をとって相続を進めることができない。
こうした事例はけっして珍しいことではありません。
むしろ「相続について詳しく、なおかつ体力的にも時間的にも関連する手続きをバリバリ行える人」がいることの方が珍しいです。
よほど時間や体力、手間を捧げる覚悟がない限りは相続手続きの全てを自分で行うというのは難しいでしょう。
一例として、相続手続きの一番初めの戸籍収集だけでもいかに大変なものであるかをこちらのページで紹介していますので参考にしていただければ幸いです。
少し自分で相続手続きを開始してみたものの上記のような理由から思っていたよりうまくいかないという方もいらっしゃるかと思います。
そうした方のために当事務所では無料相談を実施しております。
無料相談について詳しくはこちらのページからご確認ください。
相続についての相談は誰にすればいい?
「自分で行うことの大変さは理解ができたものの、法律の専門家が弁護士・税理士・公認会計士・行政書士といる中で相談すればいいのかわからない」という声を頻繁にお聞きします。
そこで私共が相談相手としておすすめするのは『司法書士』です。
司法書士は
・相続に関連した手続きに詳しい
・相続についての事例を多く持つので詳しい相談ができる
・難解な手続きを代行してくれる
・費用も税理士や弁護士に比べて高くなりすぎない
という点で相続の相談に適した専門の資格者になります。
一つ注意点としては、「相続に特化した」司法書士事務所に相談するということです。
相続分野を得意としない司法書士もいるため、そうした司法書士ではなく相続に強みをもつ司法書士事務所を探すことをおすすめいたします。
既に何らかの問題が発生していて明らかに税理士・弁護士に依頼しなくてはならないという場合を除いては、まずは司法書士に依頼してみましょう。
相続の手続きはいろいろ難しくてよくわからない・・・という方へ
当事務所は、初回相談を完全無料で承ります。
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この記事の執筆者
- 司法書士法人南海リーガル・行政書士法人南海リーガル 代表 西森淳一
-
保有資格 司法書士・行政書士 専門分野 不動産登記・会社登記・相続遺言 経歴 平成25年8月に松山市にて開業以来、「地元愛媛県の皆様のために」の信念のもと、一つ一つの業務に全力で取り組み、数多くの案件に携わってまいりました。
皆様から大切な仕事のご依頼をいただき、終わったあとに「任せてよかった」といった言葉をいただくのは大変うれしいものです。そんな言葉をより多くいただけることを目標に日々の業務に取り組んでいます。どうぞお気軽にご相談ください。
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