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【空き家の相続・相続放棄】空き家を相続する際に必要な手続きや対策を解説

公開日:2024.01.10
最終更新日:2024.02.06

現代の日本において「空き家」は大きな問題になっています。
平成30年の総務省の調査によると日本における空き家の割合は13.4%となっており、
実に約7軒~8軒に1軒は空き家であるということが言えます。
ご両親が亡くなり空き家を相続しなければならない、また今後空き家を相続する可能性があるという方は、各手続きのリスクなどを知っておく必要があります。
本ページでは空き家の相続について解説いたします。

空き家の相続手続きを放置するデメリット

必要な名義変更などの手続きか分からず、放置してしまっているという方もいるのではないでしょうか。
日本には長期的に放置されている空き家が約340万戸以上あるとも言われています。
空き家を放置しているデメリットとしては下記が挙げられます。

固定資産税の負担が増えるリスクがある

一般的な住宅にかかる固定資産税は特例措置により下記の様に設定されています。

小規模住宅用地(200㎡以下の部分:6分の1に減額)
一般住宅用地(200㎡を超える部分:3分の1に減額)

しかし、適切な管理を行わずに空き家を放置している場合には、特例措置の対象から外れるため実質的に固定資産税の負担が増えるというリスクがあります。

経年劣化により資産価値が下がる

不動産は適切な管理を行わない、人が住まない場合には建物が早く劣化していき資産価値が下がるというリスクも抱えています。
管理を放置しており劣化が激しい不動産は、売却の際にも買い手が見つからず、賃貸に貸し出すなどの資産活用も難しくなります。

周辺住民とトラブルに発展する可能性がある

上記の劣化にも関連しますが、空き家を長期間放置している場合
建物や屋根の倒壊、外壁の落下などのリスクがあります。
仮に建物倒壊により隣接する建物や近隣の住民に被害が生じた場合には、
トラブルに発展しかねません。
そのため、空き家は適切に管理を行う必要があります。

2024年4月より相続登記(名義変更)が義務化

2024年4月より、相続登記(相続に伴う不動産の名義変更)が義務化されます。今回の法改正では
・相続が発生してから3年以内に相続登記を完了しなければならない
※特例措置あり
・相続の名義変更を放置していた場合10万円以下の過料が発生する可能性がある

などが定められました。
相続登記の義務化について詳細はこちらから>>>

いずれにしても、空き家は放置せずに正しく名義変更などの手続きを実施した上で、管理を続ける必要があると言えます。

空き家を相続した場合の活用方法について

先程、記載した通り不動産を相続した際の名義変更は必須になります。
相続登記は戸籍収集や遺産分割協議書の作成など様々な対応事項がございます。
作業の手戻りを防ぐためにも一度司法書士にご相談いただくことを推奨します。

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本項では相続登記を行った後に想定される空き家活用方法を簡単にご紹介いたします。

相続した不動産を売却する

相続した不動産を売却し、現金化する方法です。
・複数の相続人がいる場合は、現金化することで分割がしやすくなる
・固定資産税の支払いや管理の手間がなくなる
・(相続税の納税資金が不足している場合)納税の為の資金として充てることが出来る
などのメリットがあります。
ただし、不動産を売却するには通常、一定程度の期間が必要ですので、その間は不動産の管理を行う必要があります。

空き家の相続に関する税制特例

不動産を売却して利益(譲渡益)が発生する際には、譲渡所得税がかかります。
しかし、空き家の売却において一定の要件を満たしていれば特例の対象となり
譲与所得税が節税できる可能性もあります。
★国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」について

不動産を賃貸として貸し出す

相続した不動産を貸出、家賃収入を得るという方法です。
入居者が見つかれば、管理の手間は大幅に減らすことが出来ます。
ただし、入居者が見つかるような物件なのか見極める必要があり、
更に場合によってはリフォーム、クリーニングの必要性も出てきます。

住居として利用する

相続した不動産が空き家であり相続人のニーズと合っているようであれば、
住まいとする、セカンドハウスとするという利用方法も想定されます。
場合によってはリフォームを行うことでより住みよい住居となる可能性もあります。

空き家となる不動産の売却が難しい場合は相続放棄も選択肢に

例えば相続した実家が現在の居住地から離れており、売却や賃貸も難しいという場合には
「相続放棄」するということも一つの選択肢になります。

当然ですが、相続放棄を行えば管理責任や固定資産税の負担からは免れることが可能です。
ただし、相続放棄はその他の財産(預貯金や株式など)も含めて亡くなった方の財産の取得を全て放棄するという手続きになります。

そのため、空き家を相続放棄するのは資産より負債が多い場合や、
相続争いに巻き込まれたくないという場合が多いです。

相続放棄する場合の管理責任

 相続放棄申立てにより、相続放棄をすることで空き家を取得しないことが出来ますが、
空き家について無関係にはなりません。「相続財産管理人」が選任されるまでに、トラブルが発生した場合
管理責任や損害賠償は相続放棄をした人間に問われる可能性があります。

 さらに相続財産管理人が選任された場合でも、相続放棄をした空き家をすぐに国が引き取るわけではありません。
国による引き取りが発生するまでは、相続財産管理人に報酬や管理費用を支払い続ける事になるため、
かえって固定資産税・都市計画税を支払っていた方が安くなるケースもあります。

 そのため、空き家を相続する場合、放棄という選択肢も含めて慎重に判断を行う必要があります。

空き家を相続して損をしないために

空き家を相続した場合、記載した通り様々なデメリットが発生します。
ただし、上手く活用を行うことが出来れば資産として有効に利用することができるのも事実です。
また、全ての活用において所有者が亡くなった後の「相続登記」を行うことが前提の内容です。

空き家の相続についてお困り事があれば是非、一度専門家にご相談下さい。

この記事の執筆者
司法書士法人南海リーガル・行政書士法人南海リーガル 代表 西森淳一
保有資格 司法書士・行政書士
専門分野 不動産登記・会社登記・相続遺言
経歴 平成25年8月に松山市にて開業以来、「地元愛媛県の皆様のために」の信念のもと、一つ一つの業務に全力で取り組み、数多くの案件に携わってまいりました。
皆様から大切な仕事のご依頼をいただき、終わったあとに「任せてよかった」といった言葉をいただくのは大変うれしいものです。そんな言葉をより多くいただけることを目標に日々の業務に取り組んでいます。どうぞお気軽にご相談ください。

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