相続が発生してから3か月以上たっていても相続放棄ができるって本当?相続放棄が可能なケースを判例付きで解説!
- 公開日:2023.10.23
- 最終更新日:2024.09.09
相続放棄の申し立ての期限については「自身が相続人であることを知った日から3ヶ月以内」に手続きをしなければならないと法律で決められています。
そして、注意しなくてはならないのは、「相続放棄に関する法律を知らなかった」という言い分は認められないという点です。
「相続放棄の手続き期限は3ヶ月以内」という期限を本当に知らなかったとしても、知っていたものとして扱われますので十分注意が必要です。
ですから、負の相続財産も含めて相続財産をすべて相続人が相続するという結果になります。
では、どうすれば、相続放棄を裁判所に認めてもらうことが出来るのでしょうか。
本ページでは相続発生から3か月以上経過した相続放棄について解説してまいります。
目次
相続放棄の期限を過ぎるとどうなるの?
相続放棄の期限は一般的に相続の発生から3か月です。
では、この相続放棄の期限を過ぎてしまった場合どうなるのかを見ていきましょう。
相続放棄の期限は「どのタイミング」から3か月なのか
一般に相続放棄の期限は「相続の発生から3ケ月以内」という形で認知されています。
しかし厳密には、民法第915条によって、
「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」
という形で定められています。
この「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」というのが基本的には「被相続人が亡くなって相続が発生した時」と同じであるために簡略化されて「相続の発生から3か月」という形で一般的に認識されているということになります。
一方で、「相続の発生・開始」から3か月以上が経過してから、債権者が現れ「借金を返せ」と言われ借金の存在を知ったということもあります。
この場合、相続人は「相続の発生・開始」から3か月以内に相続放棄を行うことが物理的に不可能であったということになります。
このようなケースでの相続放棄については後述の「あああああああああああああ」で詳しく解説いたします。
期限が過ぎれば原則的には相続しなくてはならない
原則的には、相続放棄が可能な期限を超えてしまった場合、その相続人は相続財産を借金のようなマイナスのものも含めてすべて相続する「単純承認」をしたという扱いを受けます。
相続の発生後3か月以内であれば、相続放棄や限定承認といった形で相続手続きを行うことができますが、3か月を過ぎたが最後、そういった選択肢は取ることができなくなってしまいます。
ちなみに、限定承認とは、負債や借金といったマイナスの財産の額が、不動産屋預貯金といったプラスの財産の価額を超えない範囲で相続を行うというものになります。
どのような形で相続を行うのか、はたまた相続の権利を放棄するのか、こうした決断には期限があるので注意が必要です。
「知らなかった」は通用しない
当事務所にも「相続放棄が3か月以内だなんて知らなかった。今からどうにかできないか」という相談をお持ちになるお客様がいらっしゃいます。
しかし、結論から述べますと「3か月以内に相続放棄を行わなくてはいけないことを知らなかった」という言い分は認められません。
「相続放棄を行うという権利がありながら行使をしなかった」という扱いになり、その権利そのものを知らなかったのはその人本人の自己責任ということになっています。
特別な事情がなく相続放棄の期限を過ぎてしまった場合には諦めるしか選択肢は残されていません。
こうした事態に陥らないためにも、相続に関して何らかの問題や疑問を抱えているかたは早いうちから相続の専門家である司法書士といった資格者に相談するのも有効な手段かもしれません。
期限が過ぎても相続放棄できるケース
原則的には3か月の期限が過ぎた場合には相続放棄を行うことはできないということを紹介しました。
しかし、その3か月が経過してから借金の存在が分かった場合には物理的に相続放棄を行うことができないという話がありました。
ここでは実際の判例を元に、期限が過ぎた後の相続放棄の事例を確認していきましょう。
相続発生から3か月以上経過後にマイナスの財産の存在を知ったケース
この判例は,昭和59年に最高裁判所にて相続放棄についての判断が下された際の判例です。
相続放棄に関する判例としてはベンチマークとして扱われることが多く、東京高等裁判所平成14年1月16日決定(家庭裁判月報55巻11号106頁)の判例や東京高等裁判所平成19年8月10日決定(家庭裁判月報60巻1号102頁 )の判例でも司法判断の根拠とされており、「相続放棄」に関する代表的な判例となっています。
最高裁昭和59年4月27日判決(判例タイムズ528号81頁 )
熟慮期間は、原則として、相続人が前記の各事実を知つた時から起算すべきものであるが、 相続人において相続開始の原因となる事実及びこれにより自己が法律上相続人となつた事実を知つた時から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかつたのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、このように信ずるについて相当な理由がある場合には、民法915条1項所定の期間は、相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当である(判例時報1116ー29) 。
このように、「借金や負債といったマイナスの相続財産が全く存在しないと信じており、またそのように信じることについて相当の理由がある場合」には、そのマイナスの財産の存在を知った日から起算して3か月以内での相続放棄が認められる場合があるということになります。
相続放棄の期限が迫っている時は?
相続放棄の期限はまだすぎていないものの実際に手続きを行うことができるようになるころには期限が過ぎてしまいそうな場合や、やむを得ない事情により3か月以内に相続放棄を行うことが難しい場合があります。
そのような場合には「相続の承認または放棄の期間の延長」を家庭裁判所に申請し、手続きの期限を3か月伸ばすことができます。
相続放棄を検討しているものの、時間が足りない、事情があってすぐに申請できない、という方はこの延長の制度を利用しましょう。
延長手続きの必要書類
申立てには以下の書類が必要になります。
・申立書(ダウンロード)(記入例)
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・利害関係人からの申立ての場合は利害関係を証する資料(親族の場合、戸籍謄本等)
・伸長を求める相続人の戸籍謄本
申請費用
申請には以下の費用が掛かります。
なお、申し立てを行う家庭裁判所によって異なる場合があるので、各家庭裁判所のサイトでご確認されることをおすすめいたします。
・収入印紙800円分(相続人1人につき)
・連絡用の郵便切手
いつまでに提出すればいいの?
相続放棄を行うことのできる期間である3か月を「熟慮期間」と呼びます。
読んで字のごとく、この「熟慮期間」は相続について考える期間ということになります。
そのため、この熟慮期間である3か月の間に「相続放棄の申請」を家庭裁判所に提出すれば問題ありません。
「相続放棄の申請」によって、熟慮期間の間に相続放棄に関する意思表示が行われているためです。
この申請から申請の処理が完了するまでにたとえ2ヶ月ほど追加でかかったとしても相続放棄は成立しますのでご安心ください。
3ヶ月の期限を過ぎてしまった方の相続放棄もサポート!
当事務所では3ヶ月の期限を過ぎてしまった方の相続放棄も積極的にサポートしています。諦めずにまずはご相談ください。
当事務所では、相続放棄をはじめとした相続に関するお悩みをお持ちの方に向けて、無料相談を実施しています。
相続放棄はご自身でも申請することが可能ですが、万が一書類の不備や期限切れで申請が受理されなかった場合、大きな借金を背負ってしまうリスクのあるものになります。
そうしたことの無いように、当事務所の相続に強みを持つ司法書士が一からサポートさせていただきます。
予約受付専用ダイヤルは089-931-1240になります。お気軽にご相談ください。
当事務所の取り組み
例えば当事務所では、下記のようなことを行っております。
1.徹底したヒアリングを行います
当事務所では、当時の状況や事実関係がわかるまで、しっかりとヒアリングさせていただきます。
2.物証、証拠収集を行います
決め手となる証拠を、お客様と一緒に収集します。
沢山の書類の中から証拠になりそうなものを探しだします。
3.綿密な申述書の作成
頂いた情報とヒアリングをもとに、事案ごとに相続放棄が受理される為の申述書を作成します。
このようなお客様との連携プレーの結果、期限が過ぎてしまった相続放棄案件でも、裁判所に相続放棄を受理してもらうことが出来るのです。
相続放棄のように絶対に間違えてはならない手続きなどは、司法書士などの相続放棄のプロに相談し、安全で確実な相続放棄を行いましょう。
特に、3ヶ月を過ぎている場合などは専門家に依頼し、慎重に手続きを行うべきです。
当事務所では、相続放棄の経験豊富な司法書士がご相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
相続放棄サポート費用
3ヶ月期限超えの相続放棄申述書作成費用
1件:77,000円~
(※提供サービスは、通常の相続放棄フルプランパックと同じものとなります。)
これで安心!当事務所は「後払いの成功報酬」です!
当事務所は、皆さまにより安心して当事務所にご依頼いただけるように、「後払いの成功報酬」制度を導入しております。
料金のお支払は「相続放棄申述受理通知書(=相続放棄が無事に認められた旨の通知)」が家庭裁判所から届き、手続が完了したことをご確認頂いてからになりますので、どうぞ安心して当事務所にご依頼ください。
この記事の執筆者
- 司法書士法人南海リーガル・行政書士法人南海リーガル 代表 西森淳一
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保有資格 司法書士・行政書士 専門分野 不動産登記・会社登記・相続遺言 経歴 平成25年8月に松山市にて開業以来、「地元愛媛県の皆様のために」の信念のもと、一つ一つの業務に全力で取り組み、数多くの案件に携わってまいりました。
皆様から大切な仕事のご依頼をいただき、終わったあとに「任せてよかった」といった言葉をいただくのは大変うれしいものです。そんな言葉をより多くいただけることを目標に日々の業務に取り組んでいます。どうぞお気軽にご相談ください。
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