行方不明の方がいる場合の相続手続きについて解説
- 公開日:2023.12.13
- 最終更新日:2024.09.08
相続が発生した際に「行方不明の相続人がいる」「連絡の取りづらい相続人がいる」ということは非常に大きな問題となります。
なぜなら、相続における「遺産分割協議」は基本的には法定相続人全員で行う必要があるからです。
本コラムではこのような場合の相続手続きの方法について専門の司法書士が丁寧に解説いたします。
目次
そもそも「遺産分割協議」とは
「遺産分割協議」とはある方が亡くなった際に残された遺産を相続人間でどのように分けるか話し合って決定することを言います。
遺産分割協議書は不動産や預貯金の相続手続きにおいて必要です
協議結果を元に作成する「遺産分割協議書」には遺産の詳細な内容、分割の方法、相続人の名前や所在などを詳細に記載する必要があります。
また、本協議書は相続する不動産の名義変更(相続登記手続き)の際にも必要になります。
法定相続人「全員」の同意が必要です
遺産分割協議の決定、遺産分割協議書の作成には法定相続人全員の同意が必要です。
一人でも遺産分割の内容に同意しない、協議に参加していないという方がいる場合、
その遺産分割協議書を元に遺産分割(相続手続)を進める事は出来ません。
遺産分割協議書が不要なケース
下記のケースの場合には遺産分割協議書が不要となる場合があります。
必要な書類や相続手続きについては是非一度、専門家にご相談下さい。
①有効な公正証書遺言がある場合
②相続人が1名のみの場合
③法定相続分の割合で分割する場合
相続人の中に音信不通や行方不明の方がいる場合の対応方法
上記の通り、特殊なケースを除いて相続手続きの際には法定相続人全員の確認を得た遺産分割協議書が必要となります。
では、次に連絡の取りにくい相続人がいる場合の対応方法についてご説明いたします。
音信不通な相続人がいる場合
音信普通な相続人がいる場合、特に相続について非協力で連絡に応対がない場合には手紙⇒メール⇒訪問の順で連絡を試みる事が重要です。
その際に相続手続に協力しないことの「デメリット」などを伝えると良いでしょう。
・相続が正式に行われず遺産を利用することが出来ない
・借金などのマイナスの不動産がある場合、相続放棄が出来なくなる可能性がある
・相続税申告が必要な場合、滞納を利用に過料が科される可能性がある
行方不明の相続人がいる場合
相続人の中に行方不明の方がいる場合は住所の特定を行う必要があります。
相続人が行方不明でも遺産分割協議には参加する必要があるため、注意しましょう。
戸籍を利用して住所を特定する
行方不明の相続人がいる場合の住所の特定方法として戸籍の「附票」を利用するという方法があります。
戸籍の附表とは、新たに戸籍を作成した(本籍を定めた)際に以降の住民票の移り変わりを記録したもので、本籍地の市区町村で戸籍と共に保管されています。
相続人であれば、他の相続人の附表を取得することが可能なため、住所を調べて手紙を送るなどの手段を取るのが良いでしょう。
完全に連絡のつかない相続人がいる場合
附票を確認しても連絡が付かない相続人がいる場合には
「不定者財産管理人選任の申立て」
を行い遺産分割協議を進めることになります。
下記にて詳しく解説いたします。
「不在者財産管理人」とは
不在者財産管理人とは、行方不明となっている方の財産を管理する人を指し、家庭裁判所から選任されます。
相続手続きにおいて不在者財産管理人は、相続人の代わりとなり遺産分割協議を進める事が出来ます。
不在者財産管理人を選任できる条件
本制度を利用できるのは本人が行方不明で「不在者」と認定できる場合に限ります。
「連絡が取れない」「どこにいるか分からない」「帰ってくる見込みがない」などの条件が必要と考えてください。
不在者財産管理人となれるのは
原則、利害菅家の無い人であれば候補となることが可能です。
候補がいない場合には司法書士や弁護士などの専門家が裁判所から選任されるケースが多いです。
失踪宣告の申し立てについて
失踪宣告とは、行方が分からない方の生死が7年間以上明らかでない際に、
家庭裁判所から法律上死亡とみなすとする制度です。
相続手続きにおいては失踪宣告がなされた場合、該当の相続人が亡くなったものとして
扱われるため、遺産分割協議を該当の相続人を除いて進めることが可能になります。
ただし、不在者財産管理人と異なり失踪宣告がなされた相続人に配偶者Aや子Bがいる場合、
法定相続人にAとBが追加されるため、2名を含めて遺産分割協議を進める必要があります。
行方不明の方がいる場合の相続 まとめ
いかがでしたでしょうか。
相続人の中に行方不明の方がいる場合、相続手続きに必要な手順が増えて
手続きを進める事が大変になります。
弊所に依頼いただければ、行方不明の方の住所の確認から
必要な書類の収集・作成なども代理で行うことが可能です。
一度、専門家の無料相談を受ける事をお勧めいたします。
この記事の執筆者
- 司法書士法人南海リーガル・行政書士法人南海リーガル 代表 西森淳一
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保有資格 司法書士・行政書士 専門分野 不動産登記・会社登記・相続遺言 経歴 平成25年8月に松山市にて開業以来、「地元愛媛県の皆様のために」の信念のもと、一つ一つの業務に全力で取り組み、数多くの案件に携わってまいりました。
皆様から大切な仕事のご依頼をいただき、終わったあとに「任せてよかった」といった言葉をいただくのは大変うれしいものです。そんな言葉をより多くいただけることを目標に日々の業務に取り組んでいます。どうぞお気軽にご相談ください。
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